Reading Group【読書会】
読書会
普段あまり触れることのない,近接する学問領域に関するまとまった量の文献を集中的に読み,議論を行います.それによって,今後の研究の幅を広げることを目的とします.
2016 夏の読書会
- Date
- 9/5-8 各日 10:00 – 16:00
- Textbook
- Handbook of Knowledge Representation (HKR), 定性推論補足資料
- 見積もり
- 1枠=50分+休憩10分、5枠 * 4日=20人、10ページ * 20人=200ページ
概要
「学習」の本質は「汎化」にある。つまり、既存データの丸暗記以上に、見たことのない状況にも対応できるような能力の獲得である。
訓練事例を連続空間の中の点で表し、空間的に近い点に対しては近い行動を取る、というのは汎化の方法の一つ。深層学習もこれに分類される。
もう一つ、規則と論理による汎化方法もある。「動物が食べる」「犬が動物である」ので、「犬が食べる」、三段論法のような方法である。
この二つの汎化方法は、いずれ合体させなければなりません。
Knowledge Representation は、どのように知識を表現すればそれが規則と論理で推論可能になり、そしてその推論でどんな未知の状況に対応できるようになるのか、を研究する分野である。つまり、上記二つ目の汎化に関する研究分野である。
もう一度言おう。二つの汎化方法は、いずれ合体させなければなりません。
内容
読みたい内容、見積もりの難易度(*で表す)、およびコメントを次にまとめました。
HKRの各チャプターは基本独立であり、いちチャプター2〜3枠の構成になっています。
キリのいいところで分割しているので違う人で分担できるはず。
ただ、各チャプターの後ろの部分を担当する人は当然このチャプターの前の部分も理解しなければなりません。
HKR Chapter 5. Conceptual Graphs
「意味」を明確に表し、推論可能な形にすることが難しいことです。自然言語に近く、直感的で、表現力豊か、しかも効率的な推論を可能にするような意味の表現の仕方となると、もっともっと大変に難しいことです。では、Conceptual Graphを読みましょう!
2枠、前半は意味表現の説明、後半は推論をする方法、およびより豊かな表現力に向ける拡張の展望です。
5.1 — 5.2 pp.213–223 (10ページ)(*)
5.3 — 5.5 pp.223–235 (12ページ)(**)
HKR Chapter 8. Belief Revision
世の中は不完全で、エラーが付きものです。論理的な推論を行おうとすると、すぐに矛盾が出る。矛盾に出会っても、エージェントの精神衛生上、一貫性のある矛盾のない信念を保ち続けるためには、これまでに信じていたことの一部を見直さなければなりません。それをするための、美しい数学的理論を読みましょう!
2枠、前半は美しい数学理論のまとめ、8.6はより進んだ理論とより難しい数学、8.8は割と独立しているし3ページしかありませんが超重要です!
8.1 — 8.3 pp. 317–329 (12ページ)(*)
8.6 pp. 340–346 (6ページ)(**) 8.8 pp. 349–352 (3ページ)(*)
定性推論
定性的推論を行う、そして自然言語との関連トピックの紹介です。
論文1本 5ページ、1枠(*)
HKR Chapter 10. Model-based Problem Solving
これを読んで思ったことが二つあります。
一つはソフトウェア・デザインに関することで、今のNLPでよくあるパイプライン的なソフトウェア構成(形態素解析->構文解析->意味解析->応用タスク)は上流のエラーを伝播させる悪い構成で、下流でわかったたくさんの情報を上流に応用しようとすると大変に難しいである。このチャプターで紹介するModel-based Problem Solvingの観点からソフトウェア・デザインを考えると、有益な知見はないだろうか?
もう一つは、含意・矛盾関係認識の実世界における応用に関することです。このチャプターで紹介するProblem Solvingは、すべてを含意・矛盾関係認識に帰着するものです。この種の分析は、政治や経済における社会の仕組みの分析、不満の対応と解消、などにも通じるものが多いと思いました。
2枠
10.1 — 10.2 pp.395 — 403(8ページ)(*)
10.3 pp.403 — 407(4ページ) 10.4.6 pp.434 — 438(4ページ)(*)
HKR Chapter 16. Situation Calculus
世界は常に変化し続けています。変化を扱うためには、どんな推論が必要でしょうか?そして人工知能における最も有名な問題、「フレーム問題」について勉強しましょう。
2枠
16.1 — 16.2.2 pp.649 — 660(11ページ)(*)
16.2.3 — 16.5 pp.660 — 669(9ページ)(*)
HKR Chapter 6. Nonmonotonic Reasoning
フレーム問題を解決するために必要不可欠な、「デフォルト」の入った論理の仕組みについての解説です。三つのアプローチに分かれています。
3枠、徐々に難しくなっていきます。
6.1 — 6.2 pp.239 — 252(13ページ)(*)
6.3 pp. 253 — 260(8ページ)(**)
6.4 — 6.5 pp. 260 — 272(12ページ)(***)
HKR Chapter 18. Temporal Action Logics
時間変化と動作と効果を実際に扱うのはどれだけ複雑な問題か、このチャプターを読んで体感しましょう。たくさんの細かい問題、複雑なシナリオ、実用的なアプリケーションに関する紹介があります。
3枠、Chap.16とChap.6で紹介するバックグランドを知っていて、しかもこのチャプターを根気よく丁寧に読み解き、かつ地頭がよくないと理解できません。今回の読み会のラスボスです。みんなで力合わせてチャレンジしましょう!
18.2 — 18.3 pp. 713 — 724(11ページ)(***)
18.8 — 18.9 pp. 735 — 742(8ページ)(***)
18.10 — 18.13 pp. 743 — 752(9ページ)(***)
HKR Chapter 19. Nonmonotonic Causal Logic
ここまで来れば、もうこのチャプターの内容は簡単でしょう。前のチャプターの重厚さとは対照的に、動作とその効果、そしてcausalityを扱うための、手軽な枠組みの紹介です。
2枠
19.1 — 19.3 pp.759 — 768(10ページ)(**)
19.4 — 19.8 pp.768 — 774(7ページ)(**)
スケジュール
CENTER:時間 | CENTER:Chapter | CENTER:Sections | CENTER:頁数 | CENTER:難易度 | CENTER:担当 | CENTER:資料 |
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9/5 (月) | ||||||
10:00-10:50 | Chapter 5.brConceptual Graph | 5.1 – 5.2 (pp.213-223) | 11 | ★ | 小松・ | 内部資料 |
11:00-11:50 | 5.3 – 5.5 (pp.223-235) | 13 | ★★ | 高瀬・佐々木(翔) | 5.3 5.4から | |
13:00-13:50 | Chapter 8.brBelief Revision | 8.1 – 8.3 (pp.317-329) | 13 | ★ | 松田・浅野 | -8.3.2 8.3.3-8.3.5 |
14:00-14:50 | 8.6 (pp.340-346) | 7 | ★★ | 鈴木・塙 | メモ スライド | |
15:00-15:50 | 8.8 (pp.349-352) | 4 | ★ | Sumit・稲田 | 8.8 | |
9/6 (火) | ||||||
10:00-10:50 | 論文: Sven E. Kuehne and Kenneth D. Forbus.brQualitative physics as a component in natural language semantics: A progress report. 2002. | 5 | ★ | 折田 | 内部資料 | |
11:00-11:50 | Chapter 10.brModel-based Problem Solving | 10.1 – 10.2 (pp.395-403) | 9 | ★ | 10.1-10.2.2 | |
13:00-13:50 | 10.3 (pp.403-407),br10.4.6 (pp.434-438) | 10 | ★ | 中山・栗原 | 10.3 10.4.6 | |
14:00-14:50 | Chapter 16.brSituation Calculus | 16.1 – 16.2.2 (pp.649-660) | 11 | ★ | 小林・Corentin | ~16.2 Yale Shooting Problem 16.2~ |
15:00-15:50 | 16.2.3 – 16.5 (pp.660-667) | 8 | ★ | 佐藤・ | 2.3 ~ 5 | |
9/7 (水) | ||||||
10:00-10:50 | Chapter 6.brNonmonotonic Reasoning | 6.1 – 6.2 (pp.239-252) | 14 | ★ | 横井 | 内部資料 |
11:00-11:50 | 6.3 (pp.252-260) | 11 | ★★ | 高橋(諒)・鶴田 | 内部資料 | |
13:00-13:50 | 6.4 – 6.5 (pp.260-272) | 13 | ★★★ | 田 | ||
14:00-14:50 | Chapter 18.brTemporal Action Logics | 18.2 – 18.3 (pp.713-724) | 12 | ★★★ | 岡崎 | 内部資料 |
9/8 (木) | ||||||
10:00-10:50 | Chapter 18.brTemporal Action Logics (続き) | 18.8 – 18.9 (pp.735-742) | 8 | ★★★ | 松林 | 内部資料 |
11:00-11:50 | 18.10 – 18.13 (pp.742-752) | 11 | ★★★ | Paul・代勤 | 18.9.5 18.10 18.11 18.12&18.13 | |
13:00-13:50 | Chapter 19.brNonmonotonic Causal Logic | 19.1 – 19.3 (pp.759-768) | 10 | ★★ | 乾 | 内部資料 |
14:00-14:50 | 19.4 – 19.8 (pp.768-774) | 7 | ★★ | 乾 |
過去の記録
Last-modified: 2023-02-15 (Wed) 17:00:05 (731d)